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  • 2025.03.28

    SGE YouTube チャンネル「Sport for Social Solutions (SSS) 」#12 を公開しました

SSS#12 日ASEANマレーシア調査報告

久乐棋牌游戏スポーツとジェンダー国際平等研究センター(以下、SGE)は、YouTubeチャンネル『Sport for Social Solutions (SSS)』を運営しています。本チャンネルでは、専門家や行政関係者、アスリートなどの幅広いゲストとともに、社会課題解決のプラットフォームとしてのスポーツに光を当て、情報提供や意見交換を行います。

久乐棋牌游戏スポーツとジェンダー平等国際研究センター YouTubeチャンネル:

SSS第12回目のテーマは「日ASEANマレーシア調査報告」。

東南アジアの中心に位置するマレーシアは、マレー系、中国系、インド系、そして多くの先住民族が共存する多民族?多文化国家です。多様な言語や宗教、文化が交錯する中で、マレーシアの女性たちはどのようにスポーツに取り組んでいるのでしょうか?

スポーツ庁の委託事業として、SGEが進める「ASEAN-JAPAN Actions on Sport: Gender Equality」では、日本とASEAN10カ国の政府が協力し、スポーツを通じたジェンダー平等の実現を目指しています。このプロジェクトの主要な取り組みの一つとして、2023年から、日ASEAN諸国の女性および女児のスポーツ参加における課題とニーズを明らかにするための実態調査が行われています。

6ヵ国目となる2024年度最後の調査国はマレーシア。現地を訪れたSGEポスドク研究員の古田映布と宮澤優士が、その調査を振り返りました。

これまでの調査国の報告は、以下の記事をご覧ください。

クォーター制とスポーツ

調査に訪れた際、印象的だった点について尋ねられた古田は、まず1971年に導入された「新経済政策(NEP)」の中核的施策である「クォーター制」について触れました。この制度は、かつて民族間での衝突の要因となっていた経済格差の是正を目的に、人口の約7割を占めるマレー系住民(ブミプトラ)に対して、教育、雇用、企業所有など多くの社会的領域で一定割合を割り当てる優遇措置を提供するものです。そのため、現在のマレーシアの多くの機関の意思決定層にはマレー系が多く、スポーツ組織も例外ではないといいます。


さらに古田は「クォーター制があるからこそなのか、それぞれのコミュニティがそれぞれの考え方に基づいてスポーツを選んでいる」と説明しました。例えば、イスラム教徒が多いマレー系では、女性はバドミントンやネットボールといった身体的接触の少ないスポーツに取り組む傾向が強い一方で、中国系の人々は比較的自由にスポーツを選ぶことができるといいます。また、インタビュー対象者がそのことを話す時、それぞれの民族の考え方に対して干渉せず、尊重し合う姿勢も非常に印象的だったと共有しました。

これを受けて、宮澤はASEANの多くの国が複数の民族で構成されている中で、「クォーター制」を唯一導入し続けているマレーシアのあり方を「多様性を考える上で重要なポイント」と指摘しました。古田同様に、インタビュー中、異なる民族同士が互いに尊重し合いながら意見を交わす様子が見られ、国として多様な集合体を単一の枠に押し込めるのではなく、「多様なものを多様なままに」尊重している点に学ぶべきことがあると感じたと話しました。

セーフガーディングとジェンダー平等の推進

続いて、話題はマレーシアが積極的に取り組みを進めている「セーフガーディング」の取り組みに移りました。マレーシアでは、2023年4月に、女性政治家であるハナ?ヨー(Hannah Yeoh)氏が青年?スポーツ大臣に就任して以降、急進的に安心?安全なスポーツ環境づくりやスポーツにおけるジェンダー平等の推進が図られているそうです。

調査チームが訪問した、代表レベルの選手たちがトレーニングを行う政府関連施設には、選手、コーチから職員まで誰もが通る道に、セーフガーディングに関する情報が掲示されていました。また、セーフガーディングの取り組みの一つとして、女性選手のコーチングに関するフォーラムを開催する等、女性にとっても安心?安全なスポーツ環境を整えていくための取り組みも積極的に進められています。

マレーシアと日本、共に学ぶスポーツの未来

マレーシアでは、男性指導者が女性選手に指導を行う際、直接身体に触れないように棒などの道具を使って技術指導を行うことが一般的だと言います。宮澤は、このアプローチが宗教的な配慮や心理的安全性の観点から重要であるとしながらも、今後技術指導の「質」を担保するための工夫も必要だということを指摘しました。また、この課題の根本的な原因として、女性指導者の不足があることに触れました。古田は、自身の経験を踏まえ、日本も同様の課題を抱えていることを指摘。「共通の課題を持っているからこそ、(その解決に向けた)プロセスから学び合うことができる」と語り、互いに学ぶことの重要性を強調しました。

さらに、近年日本への移民が増える中で、日本の体育現場においても文化的?宗教的に異なる背景を持つ多様な子どもたちのニーズに対応することが求められています。外国人児童の体育指導に関する研究を行う古田は「文化的な違いを受け入れながら、どう体育指導をしていくのかという課題も発生していて、そういったところは多民族国家であるマレーシアや他の国がどう対応しているのか、日本が学べることもたくさんある」と話しました。

宮澤は「日本が何かを提供する側、見本になる側というよりも、ともに学び、深めていくことがとても重要」と改めて強調し、SGEのこの事業にとってもその姿勢が非常に大切であると言及しました。

最後に、古田は「日本とASEAN諸国の現場の同じ立場の人たちが一堂に会して議論できる場があれば良いのでは」と話し、スポーツ現場で活躍する担当者たちが国を超えて知見を共有し、共に課題を解決する場づくりの可能性について意欲的に語りました。

今回の記事のフル動画はこちらよりご覧いただけます。