2024年度

研修事業

ASEAN各国における政策立案者向けワークショップ

2025年1月8日から9日の2日間、フィリピンのマニラにて、「モニタリング&評価」をテーマに2024年度のワークショップが開催されました。昨年2024年1月のワークショップで各国が、UN Womenの「Sport for Generation Equality Framework(参考訳:平等を目指すすべての世代のためのスポーツ枠組み)」(2020年発表)に基づいて定めたジェンダー平等を推進するための2つの優先領域の取り組みの進捗をモニタリングするための指標の特定や、ジェンダー別データの収集の仕方など、「モニタリングと評価」に重点を置いて様々な情報共有とディスカッションを行いました。

フィリピンスポーツコミッション Richard E. Bachmann長官からの挨拶

情報提供のセッションでは、昨年度のワークショップで各国毎に設定された優先領域とその進捗をSGE副センター長の野口がまとめて共有。また、モニタリングと評価とは何か、なぜデータが必要なのかといった定義や理論の説明の他、ケーススタディとしてEUカウンシルが実施する、EU諸国のスポーツにおけるジェンダー平等を可視化させる「オール?インワンプラス」プロジェクトの事例、日本のスポーツ庁の女性の意思決定層の数や女性のスポーツ実施率のデータの収集方法の事例、コンサルティング会社とのコラボレーションを通じた取り組みなどを専門家から情報提供がなされました。

ワークショップの中では、各国のこれまでの取り組みや実績とジェンダー推進に纏わる既存データ、データ収集における課題について発表し、最終日には各国によるグループワークでは、それぞれの国が定めた優先領域の進捗をモニタリングするための指標やその指標をどのように収集するかについての議論が行われました。

各国のグループワークの様子(ラオスDPL)

また、プログラムの最後は、「ASEAN加盟国としてジェンダー平等の推進を測定するための共通の指標が必要か?」というテーマでディスカッションが行われました。参加者は、共通の指標は必要という見解で合意した他、様々な懸念点や問題についても活発な議論が行われました。

今後も日-ASEAN間で引き続き連携して活動を進めていきます。




開催国:マニラ、フィリピン(共催:Philippine Sports Commission)
日程:2024年1月8日(水)?9日(木)
テーマ:モニタリング&評価
参加者:東南アジア10か国から2名(政府関係者1名、NOC関係者1名)、東ティモールから1名(政府関係者1名)、インドネシア及びカンボジアから追加1名ずつ(政府関係者それぞれ1名)、タイから追加関係者2名(政府関係者2名)ASEAN事務局2名

ワークショップ終了後の集合写真

プログラム:
1日目(1月8日)
■ 開会挨拶
ー Philipene Sports Commision Olivia “Bong” Coo氏に代わってPSCのAbellana氏が代読
ー 久乐棋牌游戏 スポーツとジェンダー平等国際研究センター (SGE) 副センター長 野口亜弥氏
ー ASEAN事務局 Senior Officer of Education Youth and Sports Division Joel Atienza氏
■ 導入:前回のワークショップのレビューと今年のワークショップの目的
ー SGE 副センター長 野口亜弥
■ M&E(Monitoring and Evaluation)とは何か?
ー SGE副センター長 野口亜弥
■ スポーツ政策とデータ収集におけるグローバルな取り組みや戦略はどのようなもので、なぜデータが重要なのか?
ー Global Obsarvatory for Gender Equaity and Sport (GO) ,リサーチダイレクター, ロンべ?ムワンバ博士
■ ASEAN各国からのプレゼンテーション
■ ケーススタディ:地域政府の取り組み - EUカウンシル
ー EUカウンシル, シニアプロジェクトオフィサー(EU-CoE project協働プロジェクト)? オール?インワンプラス(All In Plus) ? - Promoting greater gender equality in sport, Sport Division, オリビア? コナード 氏

2日目(1月9日)
■ ケーススタディ #1 日本のスポーツ庁の取り組み
ー SGE 副センター長 野口亜弥
■ ケーススタディ #2 コンサルティングとのコラボレーション
ー ポータス?コンサルティング?ジャパン K.K. 代表取締役 井上智晶 氏
■ 各国グループワーク:スポーツにおけるジェンダーの取り組みに関するデータのモニタリング評価指標の策定に向けた戦略プランニング
■ 閉会挨拶
ー フィリピンスポーツコミッション長官 リチャード?ベンチマン氏
ー ASEAN事務局教育ユーススポーツ局シニアオフィサー ジョエル?アチエンザ氏
ー SGE 副センター長 野口亜弥

ワークショップの詳しい内容は以下からご確認いただけます。
/research/sge/news/cvt4qu000000eyvg.html

各国の進捗フォローアップ

前年度のワークショップの議論の成果の各国での進捗や各国が推進する上で直面している課題などをヒアリングしフォローアップするミーティングを定期的に実施した。2回の個別ミーティングと2回の合同ミーティングを実施した。合同ミーティングではASEANの好事例や国際団体からの情報共有などを行った。

2024年5月下旬~6月下旬
第1回個別フォローアップミーティングを実施。

2024年7月18日
第1回合同ミーティングを実施。各国政府から進捗が発表されるとともに、2024年度のワークショップの中で関心が高かった、セーフガーディングへの取り組みの好事例の紹介として、マレーシア政府の取り組みが共有されました。また、ゲストとして、国際女性スポーツワーキンググループ(IWG)からAbby Burton氏、Helen Curtis氏が、国際セーフガードワーキンググループからJohnny Harris氏が参加し、情報提供を行いました。

2024年8月9日~13日
フィリピン政府スポーツコミッションで女性スポーツを担当している局長、オリビア?ボン?クー氏ら視察団が日本の女性スポーツやセーフスポーツの政策や実践を視察に訪日。日本スポーツ協会との面談の設定や日本オリンピックミュージアムも視察などのコーディネーションをSGEがサポートしました。

日本スポーツ協会への訪問の様子

2024年8月初旬~9月下旬
第2回個別フォローアップミーティングを実施

2024年12月6日
第2回合同ミーティングを実施。2025年1月のワークショップのプレワークについて説明をした。

調査事業

女性および女児のスポーツ参画における課題とニーズ

ASEANスポーツ五か年計画2021-2025(ASEAN Work Plan on Sports 2021-2025)において、ジェンダー関連事業の抑えるべきポイントとして①Leadership、②Accessibility、③Safetyの3点があげられています。調査事業では、女児や女性がスポーツを始めるうえで、上記の3つの点において①文化社会的、②組織的、③関係的、④個人的に分けて課題を分析を行っていきます。女性がスポーツに参加することにどのような意義があるのか、そして女児や女の子のスポーツ参加を阻害する要因は何かを各国ごとに明らかにすることが目的です。



調査対象国:カンボジア、ブルネイ、マレーシア
調査期間: 約3日間
調査対象者:各国政府関係者、NOCや各競技団体関係者、大学生(女子)、現地NGO団体



◎カンボジア
 調査日程: 2024年8月5日(月)?9日(金)

調査協力をしてくださったカンボジア政府関係者

◎ブルネイ
 調査日程: 2024年8月19日(月)?23日(金)

調査協力をしてくださったブルネイ政府関係者

◎マレーシア
 調査日程: 2023年9月9日(月)?13日(金)

調査協力をしてくださったマレーシア政府関係者

情報発信事業

SGEと協力協定を結ぶ、Global Observatory for Gender and Sport (GO)と連携して、国際的な議論の場で本事業について発信をします。また、ASEAN事務局と連携してASEAN各国への情報発信や、日本国内で本事業について発信をします。



2024年7月23日-24日
UNESCO主催のGlobal Sport Conference at Parisに副センター長の野口と客員研究員の折目がオブザーバーとして参加。UNESCOが発行した、「UNESCOのSprots and Gender Equality Game Plan」に本事業が好事例として掲載。

会場の様子

2024年7月 31日
スポーツとジェンダーの国際団体である、IWG Women & Sportに本事業の合同オンライン会議の様子が掲載。




2024年10月7日~10日
スイス?ローザンヌにおいて開催されたGlobal Observatory for Sprot and Gender Equality(GO)主催の専門家会議、GO年次会合、アカデミックパートナーズ会合に、副センター長の野口とポスドク研究員の宮澤が参加し、国際的なスポーツを通じたジェンダー平等の推進に対しての意見交換や、アジア地域における取り組みについて本事業を絡めて発信した。また、ローザンヌ大学で開催された「Séminaire interdisciplinaire de recherche– L’athlète-femme dans le sport international」に参加し、ジェンダーに関する暴力とスポーツ現場について理解を深めた。

本事業の説明をする副センター長の野口

2024年10月15日
日ASEANスポーツ高級実務者会合にて、2024年度の事業計画及びこれまでの成果を発表した。2024年度の事業計画について、ASEAN各国から承認を得た。

日ASEAN高級実務者会合の様子

2024年10月21日
東アジアスポーツ社会学フォーラム(台湾)にて、ポスドク研究員の宮澤と古田が、昨年度のインドネシア、フィリピン、ベトナムで実施した調査の分析結果を発表。台湾や日本だけではなく、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドなどアジア?オセアニアの国々から150名以上が学会に参加した。

研究発表をするポスドク研究員の宮澤と古田

2024年11月26日
「第一回 スポーツ×ジェンダー×国際協力 勉強会」を開催。今後の日本のこの分野における取り組みを検討する機会として、国内のスポーツ、ジェンダー、国際協力部門で活動する団体間での情報共有を目指し、行政機関、開発専門機関、非営利団体、民間企業、研究者が参加し、ジェンダー分野のスポーツを通じた国際協力について学ぶ機会を創出。本事業の調査結果や研修事業で用いているフレームワーク等について紹介した。

本事業の説明をするポスドク研究員の宮澤

2024年12月12日
Global Observatory for Gender Equality & Sport(GO)と協力協定(MoU:Memorandum of Understanding)の締結を発表。今後、SGEとGOが特に東アジアや東南アジアにおけるスポーツとジェンダーに関する研究や情報発信などの分野で連携していくことについて合意。SGEがアジアで初めてのパートナー機関となる。